2月 20日 (木)の 15:00 ~ 18:00、茨城県水戸市にあるホテルテラスザガーデン水戸で行われた、日本代協東関東ブロックセミナーに参加してきました。
第1部は15:00~16:00の一時間、講師に大塚英明氏(早稲田大学大学院法務研究科教授)をお迎えし、基調講演を頂きました。
第2部は16:15~17:45の一時間半、パネルディスカッションを行いました。 パネラーは前出の大塚英明氏、栗山泰史氏(元損保ジャパン常務・前損保協会常務理事・日本代協アドバイザー)、コーディネーターの大藪邦嗣氏(日本代協理事)の三名です。
参加者は茨城、栃木、千葉、わが埼玉の4県より140名の盛況となり、保険会社の社員もオブザーバーとして多数参加していました。
今後の代理店行政の最新情報を得ることができました。
セミナーの内容は下記の通りです。
・ワーキンググループは「答申」を飛ばしていきなり「報告書」となった。実施は平成28年度あたりか。
・保険会社から分離した代理「業」を認識
・企業としての代理店「経営」・・・体制整備=環境整備
・製販分離を初めて認めた。意向確認も代理店がやることになる。これまでの意向確認書は、客から距離のある保険会社が行っている建前であり、確認内容はおおざっぱな最大公約数の部分のみだった。
・製販一致時代は「本人」たる保険会社が全部やる建前のため、金融庁は保険会社を監督すれば代理店もふくめ全部監督していることになっていて、楽だった。
・保険の顧客「開拓」をやっている代理店は実はすごいことをやっている。世間一般から見た保険会社の「代理」とは、「あそこに顧客候補がいるから、代わりに契約してきてください」であり、白地の開拓をやっている観念はない。
・過剰な規制よりは、現場重視となる。消費者の意識向上を金融庁は認識し、代理店を主役の一人とする。
・平成7年の保険業法改正では保険仲立人(ブローカー)制度をつくり、供託金や職業賠責制度を整備したが、ひろまらなかった。そこで金融庁は代理店制度を変える方針となったり、代理店賠責保険が必要となった。
・代理店の「自律」・・・経営者による企業マネジメント(法人でなくとも企業である)
・体制整備・・・コスト、時間、人員が必要→まずは「業務履歴」を整備!この姿勢を裁判官は信用する=万が一のための「心証形成」。①記録に関する体制整備 ②人を雇ったときに企業が全責任を取れる体制。鎧を着た一匹狼に。
・これらの結果、金融庁は直接保険代理店に監督に入る。ちなみに証券業界では外務員に対して直接監督には入らない。その体制ができておらず監督が大変なので証券会社が体制整備を行い、金融庁は証券会社だけに監督に入る。
・合理的な乗合代理店は推進する。比較販売が推奨される。逆に、乗合代理店は全部覚えないといけない。
・代理店都合の乗合はできなくなる。手数料がいいという理由である商品を売る、は非合理的。
・ポイント制度による代理店差別化は金融庁は評価しているが、保険会社の利益になる代理店が高ポイントになるだけで、客のためのポイント制度になっていない問題がある。
次に、パネルディスカッションの内容です。
・昔のように「あとはしっかりやっておきますから」は不払い問題以降×
・保険のことが全部わかる客はネットで入る。よくわからない客は代理店に頼む。
・あたかも保険会社のごとく振る舞う専属専業代理店(自分を保険会社と一体化させている)も、乗合とはまた違った信頼を得ている。
・ポイント制度は、中身の要素が大切。一代理店が、一社員や一支社長と交渉するのではなく、まとまって代協と保険会社で交渉すべき。
・代理店は価値ある商人であり、保険会社の代理とはいえ、客のために商品を売ることが本分。
・3.11大地震のときに、代理店の「客に寄り添う力」を保険会社は痛切に感じた。(逆に言うと、保険会社は3.11までは代理店の力を感じていなかったのか・・・?代理店は自分の力を発揮できていなかったのか・・・?)
・プリンシプル(代理店行動原理)の確立を。
・意向把握・・・適合→納得→署名。子供が免許を取る年齢になったら車を運転するだろう、という意向の推定も必要。重要事項説明にて行う。パンフレットは補助。
・乗合代理店は、比較可能商品の全容を明確にし、もし絞り込んだのならその理由を。
・保険代理店の欠点は、客から金を取れないこと(双方代理になってしまうから)。客からコンサル料をとれないものか。
・米国の代理店手数料は日本の半分だ、という一つの実際の数字を保険会社が言ってくる・・・米国は自、火とも保険料は約二倍する。社会保険分野も任意保険がカバーしている。手数料の絶対額が大きいからこそ可能。
・再委託問題について・・・現状、金融庁は最終販売者を信用しきっていないから×
・過去に「雇用条件」がなくなったからこその「委託型代理店制度」スタートだったが、金融庁はその言葉は使っていないと。三者間スキームも甘くはないだろう。
・少人数の専門店型代理店もおもしろいだろう。体制整備もしやすい。
・世の流れに沿っていくべき。超高齢化社会→介護、年金。iPhoneやスマホという装置にアプリをどんどん追加して進化させていくように、価値創造型のモデルがおもしろそう。
・保険会社の代理店監督機能の必要性が薄れていく。保険会社の社員さんも代協のコンサルティングコースを是非受講しましょう。
以上のような意見が、活発に、時にユーモアをまじえながら交わされました。
とても中身の濃いセミナーでした。
茨城代協の皆さん、企画実行をありがとうございました。