2016年4月12日の日経新聞に大手4損保の自動車保険についての社長コメントが掲載されていました。
1.東京海上日動・・・・・収益は改善したが来年の消費税増税と自動車の電子化がすすむため、修理単価が上がるみこみ。ただちに保険料をさげることはできない。車線をはずれたら警告を発したり、衝撃感知したらコールセンターに自動的に通報する端末の提供を法人むけにはじめた。
2.損保ジャパン日本興亜・・・・・今後も収益の牽引役でありつづける。スマホのアプリをつかい、交通事故多発地点を地図上におとしこみ、スマホの画面に迂回ルートを表示するサービスを8月にはじめる。事故が減れば社会貢献になる。
3.三井住友海上・・・・・当社の悲観シナリオだと20年後の自動車保険料は数百億円減る可能性がある。正味保険料にしめる割合も、60%から50%におちる。若年層のとりこみのため、親族や友人の車を借りる若者むけに1日単位の保険をコンビニやスマホ経由で入れるようにし、20万件の契約となった。
4.あいおいニッセイ同和・・・・・車載端末であつめた走行距離、運転の巧拙などのデータを保険料に反映させるテレマティクス保険を目指す。トヨタと昨年12月から一部の車種ではじめている。ただ、乱暴な運転者だからといって保険料をあげても理解を得られない。運転の改善点をつたえ、安全運転をうながす。事故が減れば保険料も下げられる。
以上が大手4社の社長のコメント要旨です。どの損保もクルマと電子機器をむすびつける取り組みを行うような感じです。それによって支払い保険料の軽減を狙うようです。ただし、全体の保険料が安くなるということは、数がふえないかぎり、全体の代理店手数料も減るということ。手数料商売のわれわれとしても注視していかねばなりません。
次に、社長コメントを受けて、日経の記者のまとめを紹介します。
「自動車保険は、保険料引き上げと経費削減で10%程度の利益率を確保したようだ。ただ、消費税再引き上げでは、保険会社の払う保険金は増え、保険料は非課税なので増えない。長期展望は手放しでよろこべないだろう。
今後、自動運転と向き合うことになる。2020年頃の「レベル3」では、通常は自動運転だが、緊急時にはドライバーが運転する。現在の自動車保険のわくぐみで対応できると各社認識している。
完全自動運転の「レベル4」になる2030年ごろには、ドライバーは運転しない。事故の責任はメーカーの製造物責任に移る。サイバー攻撃で運転システムが原因で事故がおきたらシステム会社の責任が問われる。ドライバーを対象にした現在の自動車保険中心の経営はなりたたなくなる。
そもそも、精緻な自動運転社会では事故がおこりづらくなる。すると保険料が安くなり、損保のビジネスモデルはいずれ大きな曲がりかどを迎える」
以上です。自動運転に「レベル3」と「レベル4」があることを知りました。2030年に完全自動運転のレベル4の自動車が売り出されるシナリオが政府と自動車メーカーにはあるようです。しかし、道路を走るクルマは新車ばかりではなく、当初はほとんどが非自動運転車でしょう。すぐには上に書いた記事のようにはならないでしょう。じわじわ、ですね。
ちなみに私個人は運転がとても好きで、毎週末、マツダロードスターのマニュアルギア車で、山道を走り回ってストレス解消しています。一年くらいまえにソニー損保が無料で車載機器を貸し出すキャンペーンに応募し、運転の大人しさや荒さを「ソニー損保様」に判定してもらいましたが、残念ながら、というか当然というか、保険料が安くなる部類には入りませんでした(泣)。私はソニー損保には絶対に入りません!というか、記録が残っていて、やんわりと「入れません」状態になるでしょう。
ま、冗談はさておきまして、ここまでの自動運転の議論のなかに、「運転の楽しさ」を求める人のことが抜け落ちていることはどうなんでしょうかね。マニュアルギア車で、かつ自動運転モードを解除したクルマの保険は高くなりそうだなぁ。そのまえに大人しく運転しろって?
以上、専務理事斉藤でした。
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