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東京海上日動の決算より

東京海上日動の決算より

こんにちは。今年度も専務理事を留任させられた(泣く)斉藤高士です。よろしくお願いします。

 

今回、わたしの取り扱い保険会社である東京海上日動の2015年度決算をおおざっぱに見てみました。おもに損益計算書からです。

 

 

まず、諸手数料および集金費という項目に注目。簡単にいうとわれわれが受け取る「代理店手数料」です。

2014年度 3,581億円

2015年度 3,783億円 プラス5.6%

 

 

次に、収保を見てみます。

2014年度 2兆368億円

2015年度 2兆1,283億円 プラス4.5%

 

なにがわかるかっていうと、収保が4.5%しか増えていないのに、代理店手数料は5.6%増えていること。東京海上の説明によると、手数料率の高い契約が増えたのだ、ということです。商品ごとの代手率は上がっていないので、もともと手数料率の高い火災保険が増えたということでしょう。たしかめたら火災の収保が11%増えていました。しかし種目間のシェアで火災は14%にすぎないので、ポイント制度のなかでポイントの高い代理店の扱いが増えた影響も大きいと思います。

 

代理店の集約と大型化、企業子会社代理店、ディーラーなど乗合大型代理店を優遇するポイント制度により、このようなことは必然的におこりますね。どこまで規模加算を続けるのか要注目です。株主は利益を容赦なく「むさぼって」きますからね。株主総会に出た代理店仲間に聞いてみたら、株主にとって代理店手数料は諸悪の根源みたいに言うそうです。株主は代理店のことをあまりわかっていません。そこのあたりは、代協としても代理店の価値を世間に知らしめていかないといけないなと感じます。

 

それはさておき、代理店にとってポイント制度にはいろいろな意味で目を光らせる必要があります。代理店委託契約書の重要な別添なのですが、その別添は双方の合意によるのではなく、一方的に決めて、結果を郵送してくるだけですからね。そんな契約ってありなんでしょうか。意向確認と情報提供を保険会社から頂いてから契約したいものですが、代理店委託契約は期限のない契約で、かつポイント制度は「別添」ですからね。

 

 

 

 

さて、上の数字から平均の代理店手数料率が求められます。割り算してみました。

2014年度 17.6%

2015年度 17.8%

 

ちょっとだけ上がりました。5年くらい前の決算ではたしか16.5%くらいだったはず。2014年度も高かったということは、2015年度の長期火災などの収保増だけが原因ではなく、やはり高ポイント代理店による扱いの集中によって全体の平均代手率は上昇していると読み取れます。これまで保険会社は、零細代理店の手数料ポイントを大幅に下げてきましたが、代理店大型化の目途がついたときには規模加算を減らしてくるような気がします。

 

 

次に、社員の給料や家賃、システム費用などに充てられる一般管理費を見てみます。

2014年度 2,574億円

2015年度 2,737億円 プラス6.3%

 

なんと代理店手数料より大きく増えました。4,5年前は代理店手数料は増えても、一般管理費は減っていたのですが、今回は減少しませんでした。東京海上は、「システムコストが上がった」と説明していますが、ボーナスが増えたのではないでしょうか??? 社員さん、どうなんでしょうか?言えませんよね。

 

 

次に支払い保険金です。

2014年度 1兆1,484億円

2015年度 1兆1,751億円 プラス2.3%

代理店手数料や一般管理費の伸びよりも抑えられていますね。保険引き受けの損益に、余裕が出ていることが見てとれます。

 

支払い保険金のなかで目についたのが、自然災害保険金です。火災と自動車の合計ですが、

2014年度 272億円

2015年度 732億円 2.7倍

 

火災保険料率が上がるのも分かる気がしますね。

 

 

損害率を見てみます。

自動車

2014年度 61.1%

2015年度 60.5%

火災

2014年度 48.7%

2015年度 60.4%

傷害

2014年度 52.9%

2015年度 52.2%

全種目

2014年度 58.5%

2015年度 60.1%

 

かつて自動車の損害率が7割を越えましたが、他の種目とおなじくらいの損害率に落ち着きました。まあ、あいつぐ値上げと事故有り料率という魔術によって、「使えない保険」という「お客様の声」から保険会社を守る堤防役を代理店が担っているからこそなんですが、保険会社はわかっているのでしょうか????お客さんには代理店が「すいません!」を連発していることを!

自動車は種目間シェアの約半分を占める大きな保険ですから、稼ぎ頭になったというのもあながち嘘ではないでしょうね。

 

 

最後に社員数と代理店数です。

社員数

2014年度 17,125人

2015年度 17,148人 プラス0.13%

代理店数

2014年度 51,364店

2015年度 51,853店 プラス0.95%

社員はもう増えませんね。代理店は増えましたが、新規開設というよりは、他社代理店の乗合獲得がほとんどでしょう。

 

以上、東京海上日動の決算数字から、妄想も含めていろいろと読みとってみました。

 

専務理事 斉藤高士

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コメント

  • 山崎将史 より:

    東京海上日動の決算を私も見ました。
    思いの外、社員数が増えていなくて驚いております。
    さらに支社でも女性社員が多くなったと感じるこの頃。
    社員さんも安泰ではなさそうですね。
    収保について、+4.5%は目標値を割っている気がします。
    専業専属代理店の前年対比が知りたいです。
    代理店手数料比率、当代理店は?と思い15年度消費税分を除き計算したら、18.6%でした。
    超保険、超ビシ、Tプロの販売手数料率が高い事。
    これからは、この3つが主流となりそうです。
    逆に代理店手数料率で言うと、生保は半端無く悪いですね。
    8年ではなく、ずーとにしてもらいたいところです。

  • 斉藤高士 より:

    山崎委員長様

    いい代手率をもらっていますね!東京海上の場合、超保険によって他種目化していくとポイント加算されますしね。わたしももっと頑張らないと!代協なんかやってる場合じゃないぞぉ(冗談ですよ)。

    さて超保険の加算ですが、これが広まったあかつきには下げてくると予想していますよ。

    かの「代理店手数料ポイント体系のご案内」という丁寧なタイトルのついた「委託契約書」の「別に定める」条項によって、東京海上は手数料率を一方的、かつ自由に変えてきます。

    歴史的には、ポイント制度で加点して誘導、普及したらゼロにする、という繰り返しです。

    超保険はとくに更新案内だけでなく、更新そのものを保険会社が行う自動更新型です。これはドイツアリアンツなど欧米の専属系保険会社では多くやられていますが、この手の保険は手数料率が日本よりも低めになっています。

    自動運転などによる世の中全体のリスク低下など、代理店をとりまく環境は悪くなるばかり。儲かりまへんなぁ。

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