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大塚教授のセミナー開催される

大塚教授のセミナー開催される

平成25912日(木)18時より、浦和パルコ9階会議室にて埼玉代協主催の大塚教授によるセミナーを開催しました。埼玉代協の会員80名弱 と、東京海上日動埼玉中央支店長を始めたとした保険会社の社員の皆様方にも数名ご出席を頂きました。大塚教授からは、金融庁ワーキンググループが1年間か けて保険募集のあり方について議論してきた結果につき、講義いただきました。

タイトルは、「金融審の答申から考える これからの代理店」です。

20130915大塚教授1

 

 

セミナーは大きく2部に分かれ、

 

第1部 金融庁ワーキンググループの報告書の全体像を分析して、今後の保険業を概観するパート

第2部 意向把握について、義務と責任の視点から分析するパート

で構成され、大塚教授もちまえのジョークを交えながらの2時間となりました。

20130915大塚教授2

第1部のポイントは

「保険会社から分離してゆく保険代理店」という方向性がテーマで、まずは、

①製販(製募)分離・・・保険会社にだけ課していた募集体制整備を代理店にも課す

②企業としての代理店経営をしていく・・・自律し独立した企業主として認識(業法だけでなく、会社法も適用)

③結果として金融庁の監督が代理店に直接およぶ

というもので、過剰な規制から募集現場重視へという流れがあるようです。過剰な規制の緩和は、「保険会社にとって」であり、代理店にとっては逆に大きな規制がかかってくるようです。

④として、乗合の今後に触れ、金融庁は原則的には合理的乗合を推進していきたいようです。金融庁は、「代理店に大きくなってほしい」という意識があるようで、乗りあって、大きくなって、募集体制が整備され、金融庁の管理の簡易化が図れる、とみているようです。

⑤として、④を原則としながらも、金融庁の本音は、大型乗合代理店によって盛んに行われている「比較推奨販売」の適正化(重点的に規制を強化)があ るのでは?と語られました。消費者の意識向上、ネット検索による知識向上があり、別の言葉で言えば「ずるい消費者」も出現している中で、募集現場のコント ロールを、保険会社を間に挟まずに行いたいようです。これは保険会社による大型乗合代理店のコントロールが効かなくなっていることの裏返しかもしれませ ん。

⑥第一部の最後は手数料開示についてでした。手数料はポイント制度によって大きなばらつきがある現状ですが、金融庁は質の高い代理店ならば堂々と開 示できるはずとし、適正に応じたポイント制度になっていると見ているようです。大塚教授は、代理店の努力に応じた手数料体系(代理店が当然と思える手数料 体系)になっているか???疑問があるとのことでした。

 

10分の休憩を挟んで第2部がはじまりました。意向把握についてです。下記のようなポイントを話されました。20130915大塚教授3

①金融商品取引法第40条で、適合性の原則(株取引などにおいて、顧客の知識、経験、財産の状況、目的に照らして適正な勧誘を行う原則)があるが、株などの投資商品だけでなく、保険など保証商品にも当てはまってしまう。金融庁はこれを保険業法に入れたがっている

②として、となるとこれまで詳細に記載された保険会社作成の募文を渡すだけだったのが、代理店が詳細説明せねばならなくなる

③しかも、2544日のワーキンググループ事務局の説明資料によると、「保険募集は本来、募集人が顧客の(潜在的ニーズも含めた)意向を把握し、・・・顧客自身が自身の意向に沿っているものを認識した上で保険契約が締結される必要がある」と書いてあるらしいです。

潜在的なニーズとは、たとえば年齢が10歳の娘がいるのを募集人が知っていたら、8年後18歳になる、18歳なら自動車の免許を取るだろう、取るな ら運転するだろう、親は自動車保険の年齢条件を変更したいという潜在的な思いがあるだろう、と類推して顧客のニーズを把握すべき、ということらしいです。

これまでは、平成10年にコンプライアンスの大合唱のもと、保険会社と金融庁が一緒になって意向確認の帳票を作りました。実際は代理店が行うのです が、法的には保険会社がやるべきことで保険会社がやったことになっています。これが実際には書類を作って終わり、になっていたことが判明し、今後は保険会 社ではなく法的に代理店に主体を移してやるべきことにするようです。どのような「形」でこれを代理店がやるのか???大変な責任と作業だと思います。

④は、同じく44日資料の次の部分に注目されました。「保険募集は、・・・当該意向に沿った商品を提案、説明し、顧客自身が自分の意向に沿っているものと認識した上で保険契約が締結されている必要がある」

となると、専属代理店は商品が限られているためにそもそも意向に完全に沿うことは無理なのでは?とのことでした。

⑤として、更改の案内不備による判例を上げていただきました。有名な前橋2割判決では、更改時期を通知するだけでは足りず、信義則上、更新意志の有無の確認をする義務があるとなっています。

⑥では⑤を踏まえ、大塚教授独自法案?をご披露いただきました。

「日ごろ契約者と身近に接し、各種保険の手続きを代行したり、保険料を徴収等の事務を担っている保険代理店としては、信義則上、その過程で知り得た 情報に基づいた保険内容を実現するように努めるべき義務を有している」よって、契約者の意向に沿っていたなら支払われたたはずの保険金と、実際の保険金と の差額を損害とし、代理店は契約者にその損害を賠償する責がある???とむすばれました。

 

全体的には、保険代理業をいとなむのは生半可な意識では通用しなくなる、ということと感じました。

このような代理店に対する規制強化は、当然代理店に追加コストがかかります。そのコストは消費者の利益と監督官庁の安寧に繋がります。これが巡り巡って代理店の利益に繋がらないと、今の形態をとった保険代理業は、事業としては成立しない生業となるのでしょう。

 

野田節子氏著の「保険代理店のサバイバル戦略」によれば、アメリカでは、100年という研磨の時間を経て、

①保険会社の管理下、保護下にあり満期更改権が保険会社にある専属代理店(手数料8〜10%、保険会社が更改、保険会社による福利厚生と定年制度に従う、子の代理店継承は不可)

②保険会社からは独立、自律し、満期更改権を所有する独立代理店(手数料15%、更改手数料は若干低い)

の二つに分かれたそうです。

わが国でも、東京海上日動パートナーズやジャパン保険サービスなどの子会社だけでなく、忠誠度の高い専属代理店を特別に区分しはじめました。しかし日本には、アメリカと同じ意味での専属代理店もなければ独立代理店も存在しません。日本の保険会社は、いいとこ取りをしているような、ないような???代理店が不勉強だといいように便利使いされてしまうのでしょう。

 

今後はこのあたりの研究も必要かもしれません。

 

広報委員長 斉藤高士

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